ADSL はいくつかの部分から成り立っています(図 1 と 2 を見てください)。
<!-- Figure 1: ADSL Block Diagram (POTS Splitter) <-------Home/Office---------------> <-----Telco Central Office----> NID ----- ----- 2 wire X-----------Voice-=| S | | D | phone | P | | S |=----- Voice Switch line | L | 2 wire | L | | I |=-------------=| A | | T | Local Loop | M |=----- ISP Connection 10baseT ---------- Data | T | | | Ethernet X--=| |=----=| E | ----- or ---------- | R | ATMF ADSL ----- NIC ANT --> 図 1: ADSL 構成図(スプリッターあり) <-------家庭/事業所---------------------> <---電話会社中央局内---> NID ------ ----- 2 芯 X-------------音声--=| ス | | D | 電話線 | プ | | S |=--- 音声交換機 | リ | 2 芯 | L | | ッ |=-------------=| A | | タ | 屋外電話回線 | M |=--- ISP 接続 10baseT ---------- データ | | | | | イーサネット X--=| |=------=| | ----- もしくは ---------- | | ATMF ADSL ------ NIC ANT
ADSL で使用する顧客端末(CPE)は ANT と/もしくは NIC からなります。 ADSL ネットワークの終端機器(ANT)は、図 1 を見てもわかるように家庭や事業所 に設置されます。これで IP 接続を行います。
どの場合も、ISP へのルータのアドレスは ANT もしくは NIC が提供します。 電話会社はそれぞれ固有の設定方法を指定してきます。Linux ユーザにとって 最適な方法は、10baseT インターフェースを持った ANT を利用することです。 費用面でもセットアップの簡単さでもこれが一番です。その他のものは、特別 なドライバを用意しなければならず、いまのところ Linux で利用することは できません。 訳註ATM NIC 用のドライバが開発されています。詳しくは、 http://icawww1.epfl.ch/linux-atm/ を参照してください。 残念なことに、プロバイダによっては、Linux のドライバがない ANT と NIC の両方の機能をもつ PCI カードしか認めていないところもあります。
警告!自分でサード・パティの ANT/NIC カードを購入する場合は、 電話会社が用意するものと互換性があるものを選んでください。 ADSL で使用する回線エンコード方式はおもに2つの方式(CAP, DMT)があり、 また IP エンキャプショレーションにもいくつかの方式があります。電話会社 はどの方式が利用可能かを公開しているはずですので、確認してください。
ANT は家庭内の配線(2 芯式の電話線)に接続され、スプリッタのデータ通信側に つながれます。スプリッターがない構成では、屋外の電話会社の電話線に直結します。 図 1 はスプリッターあり、図 2 はスプリッターなしの構成図です。
私の場合は、Alcatel の ANT を支給されました。この ANT は 10baseT(クロス・ ケーブル用)の RJ45 のジャックを持っています。そのうち直接 PC に接続できる NIC が利用できるようになると思っています。
<!-- Figure 2: ADSL Block Diagram (Splitterless Design) <-------Home/Office---------------> <-----Telco Central Office----> SNI - ----- 2 wire X-[RJ11]---Voice----| | D | phone Filter | | S |=----- Voice Switch line | 2 wire | L | |=-------------=| A | | Local Loop | M |=----- ISP Connection 10baseT ---------- Data | | | Ethernet X--=| |=-----| ----- or ---------- ATMF ADSL NIC ANT --> 図 2: ADSL 構成図 (スプリッターなし) <-------家庭/事業所-----------------> <-----電話会社中央局内----> SNI - ----- 2 芯 X-[RJ11]---音声----------| | D | 電話線 フィルタ | | S |=----- 音声交換機 | 2 芯 | L | |=-------------=| A | | 屋外電話回線 | M |=----- ISP 接続 10baseT ----------データ | | | イーサネット X--=| |=------| ----- もしくは ---------- ATMF ADSL NIC ANT
ADSL が動作するためにはデジタル信号とアナログ信号をどうにか分離する必要が あります。そのため回線のどこかに分離のためのフィルタを入れなければなり ません。それを実現するために 2 つの方法があります。一つはスプリッターを 設置する方法で、もう一つは RJ11 電話用ジャックにつけるフィルタを用意する 方法です。
まずスプリッターを使った電話サービスとの分離ですが、電話会社の回線が 引かれている「家の外壁」に設置します。スプリッターは 2 つの機能があり、 一つは電話会社の配線と家庭内の配線を分けるための「境界点」を設けることで、 もう一つは データ・チャネルと音声チャネルを分離することによって電話会社 からの DSL 信号と音声信号を「分ける」ことです。音声チャネルは通常のアナ ログの電話線(2 芯)で、データ・チャネルは ANT につながれます。スプリッター は自動かつ電源不要で動作します。家庭が停電しても音声チャネルは動作するはず です。電話会社からの信号は、既設の 2 芯の電話線を経由してスプリッターに 入ってきます。そのスプリッターは家の外壁に設置されているネットワーク・ インターフェース・デバイス(NID)に組み込まれています。
次にスプリッターなしの構成ですが、図 2 を見ていただければわかるように、 屋外の電話線が直接、加入者ネットワーク・インターフェース(SNI)に接続されます。 これはすでに家庭で使用されている電話回線接続のための機器と同じものです。 ジャックが拡張されていて、アナログ電話を取りつける予定のジャックに、デジタル 信号を除去するためのフィルタが内蔵されいる特殊なジャックを取付けます。 これは RJ11 フィルタと呼ばれています(RJ11 は 4 もしくは 6 芯の電話ジャック を意味する、電話会社の公式な呼称です)。もう一方のジャックは ANT を接続する ためのもので、フィルタは必要ありません(フィルタをつけると動作しません)。 そんなに難しいことはないですよね! 低速度の ADSL は RJ-11 フィルタが必要 ない場合があることも覚えておいてください。
スプリッターなしの構成は電話会社にとって好都合です。家庭へ設定のために 出向く必要がありませんし、低いコストで ADSL を提供できるからです。 これは利用者にとってどうでもいいことです。実際アナログ電話は、 RJ11 フィルタを付けなくても使用できます。その場合に気づくことといえば、電話 を使う時にかすかに高音でヒューという音が聞こえる可能性があることぐらい です。 ただし比較的最近のものですと、電話機にダメージを与えたり、他のやっかい な問題を起こす場合があるのでおすすめしません。
DSLAM は電話会社に設置される機器で、信号を分離して音声交換機と ISP に 接続できるようにします。 ユーザとして知っておくべきことはこのぐらいでいいと思います。
ISP との間は DSLAM を通して高速なデータ・コネクションをはっています。通常は ATM over T3 (45Mbps)か OC-3 (155Mbps)を利用します。ここで大切なことは、 あなたが契約している電話会社と ISP がこのような契約を結んでいるかという ことです。