The Linux Busmouse HOWTO Chris Bagwell, cbagwell@sprynet.com v2.0, 14 Feb 2000 森本 淳 2000/3/23 この文書は, バスマウス (Busmouse) をどのように Linux にインストールし, 設定し, 使えるようにもっていくかについて解説しています. サポートされ ているバスマウスを列挙するとともに, バスマウスに関する「よくある質問」 への解答となることを目しています. 同様に, シリアルマウスに関する手が かりも含まれています. ______________________________________________________________________ 目次 1. はじめに 1.1 著作権表記と無保証 1.2 フィードバック 1.3 謝辞 2. マウスの種別を判定しましょう 2.1 ハードウェア・インタフェース 2.2 Inport マウス 2.3 Logitech マウス 2.4 PS/2 マウス 2.5 ATI コンボ ビデオ/マウス 2.5.1 IBM PC110 パームトップ・デジタイザ 2.5.2 Apple Desktop マウス 2.5.3 ハイブリッドなマウス 2.6 マウスのプロトコル 3. マウスを使えるようにしよう 3.1 マウスの割り込み番号の設定 3.1.1 IRQ の一般的な使われかた 3.1.2 Inport と Logitech マウス 3.1.3 ATI-XL マウス 3.1.4 PS/2 マウス 3.2 カーネルの設定 3.2.1 カーネルのコンパイル 3.2.2 新しいカーネルにおいて割り込み番号を変える 3.3 マウス・デバイス 4. マウスの運用 4.1 アプリケーションの設定 4.1.1 Redhat 4.1.2 その他の設定 4.2 gpm 4.3 XFree86 4.4 XFree86 と gpm 5. でもまだマウスが動かない? 5.1 他の情報源 5.1.1 3-Button Mouse HOWTO 5.1.2 Laptop-HOWTO 5.1.3 Wacom Tablet HOWTO AURL CDATA http://www.redhat.com/mirrors/LDP/HOWTO/Wacom-Tablet-HOWTO.htmlANAME CDATA Wacom Tablet HOWTO(HTMLURL)HTMLURL Wacom Tablet をマウスとして使う方法が載っています. ______________________________________________________________________ 1. はじめに この文書は, お持ちの busmouse を Linux で使えるようにするための手引き です. 先進のディストリビューションが利用可能な今日, バスマウスの設定 なんて一般的には楽なものです. とはいえ, いざ問題に出くわしたとき, バ スマウスのハードウェアとソフトウェアを手作業で設定するやりかたについ て, この文書はより良い理解をもたらす助けになってくれることでしょう. バスマウスのサポートは, 私が覚えている限りの昔からカーネルに入っていま したし, ずっと長いこと特に変化もしていません. ですから, この文書はどん なバージョンの Linux に対しても適切なものでしょう. 1.1. 著作権表記と無保証 This document is Copyright (c) 2000 by Chris Bagwell. This document may be distributed under the terms set forth in the Linux Documentation Project License at http://linuxdoc.org/copyright.html. Please contact the author if you are unable to get the license. The author disclaims all warranties with regard to this document, including all implied warranties of merchantability and fitness for a certain purpose; in no event shall the author be liable for any special, indirect or consequential damages or any damages whatsoever resulting from loss of use, data or profits, whether in an action of contract, negligence or other tortious action, arising out of or in connection with the use of this document. (参考としての和訳: この文書の著作権は Copyright (c) 2000 by Chris Bagwell です. この文書は http://linuxdoc.org/copyright.html にある Linux Documentation Project License に従う限りにおいて配布可能です. このライセンス文書を入手不可能な場合は, 作者にご連絡ください. 商業利用や特定目的への適合性に関する暗黙の保証も含め, 作者はこの文書に 関わる全ての保証を放棄します. 作者は, 契約に準じた行為, 過失またはそ の他の不法行為にかかわらず, この文書の利用に起因または関連する使用不 能, データの消失, 利益の損失が原因で生じた特別な, 間接的, 必然的損害, その他いかなる損害についても一切責任を負いません.) 1.2. フィードバック この文書に何らかの誤りを見つけたら, その内容にコメントを追加するか, も しくは更新, 追加するなどして, この HOWTO の最初に書いてある私のアドレ スまで送ってください. (訳注: 和訳に関することは森本 淳 宛にお 願いします.) 1.3. 謝辞 この HOWTO は, Linux の精神のもと, コミュニティの努力によって成ってき ました. この FAQ を始めた Mike Battersby mib@post.com に感謝します. 間違いのほぼすべては私による追加部分にあります. PS/2 マウスの章では Johan Myreen に多大なる感謝を捧げます. ATI-XL の 章では Robert T. Harris の助力を, そして Reuben Sumner には種々の情報 と建設的な批評を頂きました. マウスに関する情報や修正点, 励ましの言葉をくださった多くの方々にも感謝 します. (訳注: 翻訳に際し, Yasuhiro Yamazaki (「鳩印石鹸」について), 中野@成 蹊大 氏のご助力をいただきました. ここに記して感謝します) 2. マウスの種別を判定しましょう 先に進む前に, お持ちのマウスに関する重要な特性をまず二つ知っておかねば なりません. どんなハードウェア・インタフェースが使われているのか, そ して, どんなマウス・プロトコルが使われているかです. ハードウェア・インタフェースとはマウスのハードウェア的な側面で, どの I/O ポートを使っているかとか, どうやって接続を検出するのかといったたぐ いのことです. これはカーネルに関係する部分なので, マウスからのデータ の読みだしかたはカーネル自身が知っています. シリアルマウスの場合は, インタフェースは必ずシリアルポートのデバイスドライバになりますから話が 簡単です. マウス・プロトコルはソフトウェア寄りの問題です. カーネルのデバイスド ライバから受けとったマウスの生 (raw) データの内容を解釈するには, アプ リケーションがそのプロトコルについて知っていなければなりません. 2.1. ハードウェア・インタフェース バージョン 2.2 系までの Linux カーネルは, バスマウスのハードウェア・イ ンタフェースを 4 種類サポートしています. Inport (Microsoft), Logitech, PS/2, ATI-XL の 4 つです. バージョン 2.4 系のカーネルには, IBM PC110 デジタイザ・パッドや Apple Desktop マウスといった新しいバスマウスのサポートもいくつか入っていま す. USB マウスのドライバも入りました. USB マウスは, より一般的なシリ アル・ドライバ・インタフェースから外れてしまうので, バスマウスと一緒に 語られることもよくあります. 2.2. Inport マウス Inport マウスには, 「鳩印石鹸」のような形をした古いタイプの Microsoft マウスのほとんどが含まれます. 一般的に, Inport マウスはマザーボードの バスに差したインタフェース・カードに接続されます. インタフェース・カ ードにマウスのコードを差し込む部分のプラグが丸く, 9 ピンで, 片方に切れ 目が入っているならば, 多分それは Inport マウスです. (訳注: 「鳩印石鹸」はアメリカで売られている石鹸. 上から見ると楕円形, 横から見ると弓型に反っているそうです) ATI は現在, ATI の VGA + Busmouse コンボ・カードは Microsoft Inport ハ ードウェアを使っているので, このカードのユーザなら Microsoft Busmouse ドライバをまず最初に試すべきだと主張しています. ATI-XL VGA+Busmouse カードは技術的には Microsoft Inport マウスドライバ と互換性がありますが, 割り込みの割り当てが結構違っているので, 専用のド ライバが必要になります. あまりちゃんとサポートされているドライバでは ないので, できれば避けましょう. 2.3. Logitech マウス Logitech マウスは, 普通は Inport マウスとほとんど一緒の外見です. Inport マウスと同じく, 9 ピンのミニ DIN コネクタでインタフェース・カー ドに接続します. ただ運がいいことに, Logitech マウスは Logitech の 箱 に入っていますし, コネクタ・カードに ``Logitech'' と印刷してあったりも しますので, これは確かに Logitech のマウスなんだな, ということがわかり ます. 2.4. PS/2 マウス PS/2 マウスのインタフェースは拡張カードにではなく, キーボード・コント ローラの PS/2 ポートに接続されます. これは時にはキーボードの上にあっ たりしますが, だいたいはコンピュータの筐体に直接くっついているコネクタ です. PS/2 ポートはキーボード・コネクタに似た 6 ピンのミニ DIN コネクタです. トラックボールやタッチパッドとの接続にこの種のインタフェースを用いてい るラップトップ・パソコンも多くあります; この場合は PS/2 ポートに内部的 に接続されていて, コネクタは必要ないのですが. 2.5. ATI コンボ ビデオ/マウス ATI-XL マウスは Inport マウスの一種ですが, 割り込みの設定にちょっとし た違いがあります. このマウスは ATI-XL のビデオアダプタ+マウスのコンボ セットについてきます. ATI-XL カードを所有しているわけでもなければ (従って ATI-XL マウスも持ってなければ), 多分どっちもあなたには関係ない でしょう. ATI-XL マウスは, ATI-XL, Inport 両方のカーネル・ドライバで 使うことができますが, ATI-XL ドライバで使ったほうが良い結果が出ます. ATI VGA1024 もしくは ATI VGA Wonder と呼ばれる, ATI の古いビデオアダプ タ/マウスカードもあります. これらは ATI-XL 同様の構成ですが, Logitech マウス・プロトコルを使っています. このマウスを使うのなら, ハードウェ アのドライバは ATI-XL と同様に, ソフトウェアは Logitech マウスと同様に 設定してください. 2.5.1. IBM PC110 パームトップ・デジタイザ IBM PC110 パームトップには, PS/2 マウス・プロトコルを用いた, マウスを エミュレートできるデジタイザ・パッドがついています. この場合は IBM PC110 デバイス・ドライバを使ってハードウェア・インタフェースを設定し, ソフトウェアは PS/2 マウスのごとく設定してください. 2.5.2. Apple Desktop マウス このバスマウスは Macintosh で一般的なもので, 4 ピンのコネクタを使って います. ハードウェアはカーネルでコントロールされますが, アプリケー ション・ソフトウェア側には, この独自のマウス・プロトコルに対応している 必要があります. このマウスがどんなプロトコルを使っているのか, 今のと ころ私はわかりません. 2.5.3. ハイブリッドなマウス バスマウスが一般的だった時代, ハードウェア・メーカーは各種の実験を行 い, 互いの設計をクロス・ライセンスしていました. 従って, Logitech のハ ードウェア・インタフェースを用いる ATI のマウスがあったり, Inport イン タフェースを使った Logitech のものがあったりしたのです. バスマウスを 持っているのに, 標準的なインタフェースやプロトコルの設定で動かないとい う場合には, 別のインタフェースのドライバ, 別のマウス・プロトコルを試し てみましょう. 2.6. マウスのプロトコル PC の世界は, 異なった, そして互いに衝突するマウスのプロトコルだらけで す. 幸いなことに, バスマウスにおける選択の数は, シリアルマウスのそれ よりはかなり少なくて済みます. Inport, Logitech, そして ATI-XL マウス のほとんどは ``BusMouse'' プロトコルを使っていますが, かなり古い Logitech マウスには ``MouseSystems'' プロトコル, そして ``Logitech''プ ロトコルを使っている古い Microsoft マウスさえもあります. PS/2 マウス は常に ``PS/2'' プロトコルを用いています. 3. マウスを使えるようにしよう これでマウスのインタフェースとプロトコルの種類がわかりました. 次に進 みましょう. 3.1. マウスの割り込み番号の設定 さあ, 自分のマウスがどんなハードウェア・インタフェースを使っているかは わかりました. 今度は, マウスが使っている割り込み番号を調べ, マシンに インストールしてある他の周辺機器と衝突しないことを確かめないといけませ ん. とくに後者は繰返しチェックしましょう! 装着されている他のデバイス とぶつかっていないこと! マウスが他のデバイスのいずれとも同じ割り込み番号を使おうとしていないこ とをしっかり確認すべきです. たとえ他のオペレーティング・システムでう まく動いていようとも, Linux ではマウスが割り込み番号を他と共有すること はできません. すべての周辺機器についてドキュメントをチェックし, 何が どの割り込み番号を使っているのか調べましょう. Linux では, バスマウスが利用する IRQ は, それを使おうとするアプリケー ションによってオープンされるまで登録されません. 一方, プラグ・アン ド・プレイのハードウェアには, ブート時に割り込みを登録するものが多くあ ります. このことから, プラグ・アンド・プレイなハードのどれかが, マウ スが使うべき IRQ を先に奪ってしまうという可能性が出てきます. 注意して 欲しいのは, 仮に他のオペレーティング・システムでは, プラグ・アンド・プ レイのカードをバスマウスとぶつからない IRQ で初期化してくれるかもしれ ないけれど, Linux ではそううまくはことが運ばないだろう, ということで す. 周辺機器全てにおいて IRQ の衝突を発生させないようにする, これはあ なたにかかっているのです. 3.1.1. IRQ の一般的な使われかた 大抵の場合, IRQ4 が 1 番目のシリアル・ポート (/dev/ttyS0), IRQ3 が 2 番目 (/dev/ttyS1) (本当にこのへんのデバイスが付いていたら, の話ですよ. 付いてないんなら, これらの IRQ は大手を振って使っていいわけです) SCSI アダプタには IRQ5 を使うものがあり, そして IRQ12 を使うネットワーク・ カードもあります. PS/2 ポートの付いたマシンにとって, 他にも IRQ12 を 使うカードが付いているいうことは大問題. IRQ12 を PS/2 ポートだけに使 うよう強いられてしまうからです. ATI-XL, Inport, Logitech マウスの場合, カーネルのデフォルトは IRQ5 を 使うようになっています. ですので, コンパイル済みのカーネルを使わざる を得ない場合 (CD-ROM からブートした場合など)は, その割り込み番号を使わ なければならないことになるでしょう. Inport か Logitech のマウスを最近 のカーネルで使うのなら, コマンド・ライン・オプションを使って, 何番の割 り込みを使うべきかカーネルに教えることができますから, 再コンパイルの手 間は要りません. 3.1.2. Inport と Logitech マウス コンピュータのケースを開け, マウスが繋がっているカードを見れば, 割り込 み番号 (IRQ という名称でも知られています) を 2, 3, 4, 5 に設定する一連 のジャンパがきっとあるでしょう (運が良ければ ``INTERRUPT'' と記してあ ります). 割り込み番号を変更するには, 単にジャンパを今の位置から抜い て, 正しいピンの対に差し込むだけです. **************************************************** *** ジャンパを変更する前は, コンピュータの電源が *** *** 切ってあることを確認!! *** **************************************************** 3.1.3. ATI-XL マウス ATI-XL, そして ATI バスマウスのあるものなら IRQ をソフトウェアで選択可 能です - マウスと一緒に, IRQ を設定する MS-DOS プログラム (VSETUP.EXE) もついてきたはず. 設定するには, (いったん) MS-DOS を立ち上げ, このプロ グラムを動かしてください. VSETUP プログラムには, 垂直リフレッシュレー トを上げる (画面のちらつきを押える) ためのオプション ``/70'' があるこ とに注意. VSETUP プログラムではマウスのアドレスをプライマリとセカンダ リのどちらかに設定することができますが, プライマリの方に設定してくださ い. さもないと, カーネルがマウスを認識できなくなります. VSETUP を動かした後は一旦ハードウェアリセットをかけないと, 新しい設定 内容が有効になりません. 3.1.4. PS/2 マウス PS/2 マウスは必ず IRQ12 を使います. 変更することはできません (ハンダゴ テを持ち出すならともかく) めったにないでしょうが, 他のデバイスでも IRQ12 を使っているというような場合は, その周辺機器のほうのジャンパを再 設定し, 別の IRQ を使わせるようにしなければなりません. 3.2. カーネルの設定 お持ちのバスマウスを正しく動作させるためには, バスマウスのサポートが組 み込まれるようカーネルを設定しなおす必要があります. コンパイル済みの カーネルを使っている場合は, 三種のバスマウスすべてのサポートが組み込み 済みになっていることも多いでしょう. でもこれでも不充分なことがあるん です. そのカーネルは, 実際とは違った割り込み番号を使おうと試みたり, 自動検出に混乱したあげく, あなたのマウスを違う種別のものとみなしたりす るかもしれません. バージョン 2.4 系列以前のカーネルには, バスマウスが使っている IRQ を自 動検出する機能がありません. 従って, お持ちのカードがカーネルのデフォ ルト値である IRQ 5 以外に設定されている場合は, 代りにどの IRQ を使うの かカーネルに教えてやらないとなりません. これには二通りの方法があります. 一番簡単なのは, ブート段階でカーネルに コマンドラインでオプションを渡してやる方法です. 参考のために「カーネルのコンパイル」の章を通読してほしいのですが, まず は「新しいカーネルにおいて割り込み番号を変える」のところを注意してくだ さい. このあたりについては, Bootprompt-HOWTO も大変助けになります. この HOWTO が納められているサイトなら入っているでしょう. (訳注: BootPrompt-HOWTO 和訳 ) 3.2.1. カーネルのコンパイル カーネルのディレクトリ(ここでは /usr/src/linux と仮定します)に行き, make config とします. お持ちのマウスの種別がはっきりしない場合, まず最初はバスマウスのオプ ションをすべて有効にしてからカーネルを再コンパイルするとよいでしょう. あなたのマウスを起動時にうまいこと自動判別してくれるかもしれません. これでいつもうまくいくとは限りませんが, うまくいけば, もうコンパイルし ないで済みますしね. お持ちのバスマウス・インタフェースに属する質問項目には ``y'' または ``m'' と答え, それ以外すべてのバスマウスの問いには ``n'' とします. ``m'' オプションは, システム設定がカーネルモジュールのローディングに対 応しているときにだけ使ってください. 対応していない場合, あるいはいま 言ったことの意味がわからないなら ``y'' と答えておいたほうが無難です. これなら, 機能がカーネルの中に直接組み込まれます. 例として, Inport マウスを持っているのならば, Microsoft busmouse support に対して ``y'' とし, 他のバスマウス全ての質問には ``n'' と答えます. マウスと関係ない質問には, いつものように答えてください. PS/2 マウスのサポートを組み込んだカーネルをコンパイルするなら, PS/2 mouse (aka "auxiliary device") support に ``y'' と答えます. PS/2 マウスドライバは, 実は 2 種類のデバイスをサポートしています. 標 準の PS/2 外部デバイスコントローラ, そして Texas Instruments Travelmate と Gateway Nomad ラップトップで使われている Chips & Technologies の特殊な PS/2 マウス・インタフェース・チップの 2 つです. これらの機種のトラックボールのサポート有りでコンパイルするには, C&T 82C710 mouse port support (as on TI Travelmate) に ``y'' と答えます. 82C710 ドライバは実は標準 PS/2 マウスドライバに 対するアドオンなので, ここだけでなく標準 PS/2 ドライバに対しても ``y'' と答える必要があることに注意してください. 標準の PS/2 マウス・デバイスと, 82C710 デバイス両方の設定がしてある場 合, ドライバはブート時にまず 82C710 チップの存在を確認しようとします. 検出に失敗すると, 代りに標準ドライバが用いられるようになっています. ですので, これらのマウス・インタフェースを両方とも組み込んでおいたカー ネルでは, 標準の PS/2 マウス・ポートをも利用できます. しかしながら, 存 在しない 82C710 チップが間違えて検出されてしまったという報告が 1 件あ りました. ですから, 安全策を取るなら, 必要ない 82C710 のサポートは設定 しないのが無難です. そして, マウスがどの割り込み番号を使うのかカーネルに教えてやらないとい けません. もっとも PS/2 マウスならば IRQ は 12 に固定なのでここは飛ば せます. Logitech, Inport, あるいは Logitech プロトコルを使う ATI マウスなら, /usr/src/linux/include/linux/busmouse.h というファイルの #define MOUSE_IRQ 5 という行をマウスの割り込み番号に合わせます (マウスの割り込み番号の探し 方については, ``マウスの割り込み番号の設定'' を参照してください) ATI-XL マウスなら, /usr/src/linux/drivers/char/atixlmouse.c の以下の行 をマウスの割り込み番号に合わせてください. #define ATIXL_MOUSE_IRQ 5 マウスの割り込み番号を 2 にしたい場合は, PC アーキテクチャの特殊性のた め, #define のほうは 9 にしなければなりません. 例 割り込み番号 3 を使うマウスでは #define MOUSE_IRQ 3 割り込み番号 2 を使うマウスでは #define MOUSE_IRQ 9 のように, 上記の行を書き換えます. 次に, カーネルを付属の説明に従ってコンパイルし, できた新しいカーネルで ブートします. これで, バスマウスのサポートがちゃんと含まれたカーネル を手にすることができました. 3.2.2. 新しいカーネルにおいて割り込み番号を変える どの割り込み番号を使うかをコンパイル時に決めて組み込んでしまうのは, ど んなバージョンのカーネルでも使える方法です. 新しめのカーネル (2.x.x あ たりのどこかから)では, LILO や LOADLIN の類を使って, カーネルが読み込 まれる間に Logitech や Microsoft Inport マウスの割り込み番号を引数とし てカーネルに渡せるようになっています. カーネルをコンパイルし直さないで (あるいはやりかたを知らなくっても) よいので, 実に時間の節約になります. また, マウスドライバをモジュールとしてロードするようカーネルを設定した 場合は, モジュールがロードされるときにこういった情報を渡すことになりま す. 以下のオプションを LILO の boot 行に与えれば, 割り込み番号を変更できま す. bmouse=3 (Logitech バスマウス) msmouse=3 (Microsoft Inport マウス) 上の数値 3 を, お使いのマウスの実際の割り込み番号に置き換えてください. lilo でこれを使う例は: LILO:linux msmouse=3 この手の種別情報を LILO や LOADLIN の設定ファイルに加えてしまえば, も ういちいちタイプして指定しなくて済みます. やりかたは LILO, LOADLIN の ドキュメントにあたってみてください. あなたのシステムがモジュールの自動ロードに kerneld を使っている場合は, /etc/conf.modules か /etc/modules.conf を編集して下のうちのいずれか 1 行を足してください. options msbusmouse mouse_irq=3 options busmouse mouse_irq=3 3.3. マウス・デバイス Linux では, マウスは /dev ディレクトリにあるファイルを通じてアクセスさ れます. 下の表は, インタフェースの種類と, どのデバイスファイルを使う べきかのリストです. インタフェース デバイスファイル メジャー番号 マイナー番号 ----------------------------------------------------------- Logitech /dev/logibm 10 0 PS/2 /dev/psaux 10 1 Inport /dev/inportbm 10 2 ATI-XL /dev/atibm 10 3 注意: Inport ドライバで ATI-XL マウスをお使いの場合, /dev/atibm デバイ スではなく /dev/inportbm を使ってください. major と minor は, デバイス固有のデバイス番号です. これらのデバイスがなかった場合は, まず作らなければなりません. 以下の コマンドを root で実行してください. mknod /dev/logimm c 10 0 mknod /dev/psaux c 10 1 mknod /dev/inportbm c 10 2 mknod /dev/atibm c 10 3 注意: Linux の近年の歴史(比較的最近)において, バスマウスのデバイスの名 称が変更されました. 以下のデバイスの名称は上記のものに置き換えられま したので, 消去すべきです: bmousems, bmouseps2, bmouseatixl, bmouselogitech. 使っているマウス・デバイスから /dev/mouse へシンボリック・リンクを張る 人が多いようです. そうすれば, デバイスの名称をいちいち覚えている必要 がなくなります. 現在配布されている Linux パッケージでも多分そうなって いるでしょう. そのようなリンクがある場合, もしくは自分でリンクを張っ た場合は, 自分のマウスに合った正しいマウス・デバイスを指しているかどう か確認してください. 4. マウスの運用 この章では, いろんなアプリケーションにおけるマウスの一般的な使いかたに ついて取り扱います. 4.1. アプリケーションの設定 Linux ディストリビューションのほとんどは, どんな種類のマウスを使うのか インストールの最中に尋ねてきて, gpm と X Window System を設定してくれ ます. 正しいマウス・プロトコルを選ばなかったとか, 新しいマウスをイン ストールしたという場合は, 何かコマンド・ラインのプログラムを使って, そ の新しいプロトコルを使うよう gpm と X Window System を再設定できるのが 大半です. 4.1.1. Redhat RedHat では /usr/sbin/mouseconfig を使えます. 4.1.2. その他の設定 その他のディストリビューションの場合は, インストール方法の説明文書にあ たってみてください. 4.2. gpm gpm とは, マウスを使ったカット・アンド・ペーストを, X の上でできるのと 同じように, Linux の仮想端末間で可能とするプログラムです. お持ちのマ ウスの動作テストにもよい方法となります. gpm の最新バージョンは ftp://ftp.prosa.it/pub/gpm にあります. ほとんどの Linux ディストリ ビューションにはコンパイル済みの gpm バイナリが付いてきます. gpm を起動するときは, お使いのマウスがどのプロトコルを使っているかを -t スイッチ, そしてマウスのデバイス・ファイルがどれなのかを -m オプ ションを使って指定します. だいたいのバスマウスをまかなえる 3 プロトコ ルは, それぞれ logi, bm, ps2 として指定します. マウスのデバイス・ファ イルのデフォルトは /dev/mouse になっていますので, 適切なシンボリック・ リンクが張ってあるなら, -m オプションは省略してしまってかまいません. 例えば Microsoft Inport マウスの場合は: gpm -t bm PS/2 プロトコルなら: gpm -t ps2 それからマウスを動かしてみれば, スクリーン上をカーソル・ブロックが動き まわるのがわかるでしょう. マウスボタンを使って, 仮想端末間でカット・ アンド・ペーストできることも. より詳しい操作方法については, gpm に付 いてくる文書を読むか, ``man gpm'' してみましょう. 4.3. XFree86 お持ちのバスマウスを XFree86 で使う場合, お使いのマウスのプロトコルを Xconfig ファイル(訳注: 現在では XF86Config ファイル. 以下 XF86Config とします)に記さなければなりません. BusMouse プロトコルのマウスをお持 ちの場合, XF86Config には以下の内容が入っていないといけません (ダブ ル・クォートも入ります): (訳注: 詳しくは man XF86Config を参照してください.) Section "Pointer" Protocol "Busmouse" Device "/dev/mouse" # Any other options such as Emulate3Buttons EndSection PS/2 マウスならこうします: Protocol "PS/2" 2 ボタンのマウスなら, 以下の行も必要です. マウスの左右ボタンを同時に 押せば, 中央ボタンの付いていないマウスでも, 中央ボタン押し下げをエミュ レートできます: Emulate3Buttons ``BaudRate'' や ``SampleRate'' のようなマウスの他の設定項目はバスマウ スには関係ありませんから, コメント・アウトしておいたほうがよいでしょ う. 4.4. XFree86 と gpm カーネルのその開発の歴史において, バスマウスを複数のプロセスで共有する ことは長いあいだできませんでした. そのため, XFree86 と gpm を同時に走 らせることは困難だったのです. gpm が走っている状態で X を動かそうとし て下のようなエラーに見舞われた場合は, そういった古いカーネルのどれかを 使っている, ということなのです. Fatal server error: Cannot open mouse (Device or resource busy) こういったカーネルで XFree86 と同時に gpm を使うには二つの方法がありま す. まず一つは, XFree86 を立ち上げる前に gpm のプロセス全てを殺してし まうことです. もう一つは, gpm の ``repeater'' オプションを使うこと. (マウスからのデータを受け取り, その情報を複数のアプリケーションに対し て中継します) でも私としては, 可能ならカーネルをアップグレードすることをおすすめしま す. そうすればバスマウスを他のプロセスと共有できますから. この文書で は, 古いカーネルで XFree86 と gpm を一緒に使う件については, 簡単な方法 のほうについてだけ説明します. repeater オプションを使う方法については gpm の文書を見てください. 以下のようにすれば, gpm は走っている自分のコピーすべてを終了させます. gpm -k これは X11 を立ち上げる前にやらないといけません. X を立ち上げるのに 使っているスクリプト, たとえば startx を見て, 上記のコマンドをそのスク リプトのてっぺんに追加します. そうすれば gpm は (X が立ち上がる前に) 自動的に終了することになります. そのスクリプトの最後に gpm をリスター トさせるコマンドも追加しておけば, X のセッションを終了したあと, gpm も 再び立ち上がります. 5. でもまだマウスが動かない? ということは, あなたはこの HOWTO を何回も何回も通読し, やるべきと思わ れることは全てその通りやってみて, それでもなおマウスが動かないんです ね? 私に差し上げられる最良のアドバイスとは「経験を積むこと」です. 確 かにつらいかもしれませんが, うまくいくまで, いろんな方法を全て試してみ ることが, 結局は唯一の方法なのです. 常套手段ですが, わからないことがあったら, まずマニュアル・ページを読ん でみて, 役に立つかどうか見てみてください. 特定の疑問, ないしは私になら 助けてあげられそうな問題があれば, この HOWTO の最初に挙げたアドレスを 使って, 気楽に連絡してみてください. そうすれば, 私がお役に立つかどう か, あるいは助けになる人を紹介できるかがわかるでしょう. comp.os.linux.help か comp.os.linux.hardware ニュースグループは, マウ スの設定に関する質問, 討論に適切なところです. (訳注: 日本語のニュースグループならば, fj.os.linux.setup や fj.os.linux, japan.comp.linux あたりでしょう) それ以外のニュースグループに質問を投稿しないでください. 特に 2 つ以上 の Linux 関連ニュースグループにクロスポストすることは慎んでください… あそこらへんはもう充分ゴチャゴチャなんですから! 投稿する際は, 適切な Subject: と Keywords: をつけるようにしましょう. そうすれば, より良い 反応(と, より少ないイチャモン!)が返ってくるでしょう. 例えば: Subject: バスマウス - Gateway 2000 のマウスが動きません Keywords: mouse busmouse gateway 5.1. 他の情報源 Linux とマウスに関する便利な情報源です. 5.1.1. 3-Button Mouse HOWTO 3 ボタンのシリアルまたは PS2 マウスを使っているなら, 3-Button Mouse HOWTO が大変役立ちます. 中央のボタン (middle button) を使えるようにで きます. (訳注: 和訳 ) 5.1.2. Laptop-HOWTO Linux Laptop-HOWTO には, ノートパソコン本体についているマウスと一緒に, 外付けのマウスを使う方法が述べられています. 5.1.3. Wacom Tablet HOWTOWacom Tablet HOWTO Wacom Tablet をマウスとし て使う方法が載っています.