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8. 付録

8.1 FAQ

このセクションは ADSL の FAQ です。

  1. 質問: ADSL の標準化はどうなっている?

    答: いくつかあります。The U.S. Bell Operating Companies は、最近 Discrete Multi-Tone (DMT) の ANT (ANSI T1.413) を標準化したと発表しました。米国の 他の DMT 方式はこれに準拠するはずです。他の ANT として目立つものは、 Carrier-less Amplitude Phase Modulation (CAP) です。もちろん両方式には互換性 はありません。

    標準化に関して DMT 方式を採用するベンダーの視点から見た両方式の比較は、 Aware で見ることができます。この 話題について最も詳細な情報を提供しています。

    ANSI の規格書の写しは高価ですが、次のところに注文することができます。 American National Standards Institute ANSI Home Page
    Asymmetric Digital Subscriber Line (ADSL) Metallic Interface
    ANSI TI.413-1995
    注意: ANSI TI.413 2 版 は 1997 年 9 月 26 日に発効されました。

  2. 質問: ADSL の ANT に ATM を接続できますか?

    答: 可能です。ADSL の ANT (少なくとも Alcatel バージョン) のいくつかは、ATM の 25Mbps インターフェースを持っています。これを PCI の NIC に刺すことができ ます。しかしそのようなカード用の Linux ドライバがあることを耳にしたことはあり ません。

  3. 質問: 何で ADSL は様々な速度の種類(384/1.5/8M/20M/その他)があるんだ?

    答: 根本的な問題は、より対銅線の回線が 100 年前の設計にもとづいていることです。 アナログ電話なら何も問題はありませんが、デジタル信号を流すことは、回線の 品質に挑む行為となります。忘れてはいけないのは、回線の電話会社からの距離が 遠くなればなるほど、通信速度が落ちてしまうということです。回線最適化技術の おかげで、たいていデジタル信号もうまく扱えます。しかし全ての環境で同じ帯域幅 を確保することはできません。特に長距離(5.5 km 以上)になればなおさらです。 ベンダーの広告に出ている様々な帯域幅の設定は、様々な市場競争の結果を映し出 しています。電話会社は何とかして通信速度の「標準」を確立しようとやっき になっています。私は、384k か 1.5 Mbps が標準になるのではないかと思っていま す。より高速な回線は、特殊な状況や環境にだけ利用され、広い市場を得ることは ないと思います。

    次の質問も読んでみてください。というのも回線上の障害は、様々な回線速度を生み 出す原因の 1 つですから。

  4. 質問: ブリッジ・タップ、装荷コイルのような回線障害があると、ADSL を使用できないのでしょうか?

    答: ローディング・コイルは、電話回線での音声を伝える周波数の伝送特性を向上 させるインライン・インダクタンスです。基本的に、"回線が使用される"と 高周波のエネルギーを低周波に与えます。とても長い電話線(2.7 km 以上)の場合 によく用いられます。

    単に"ブリッジ"という場合には、ブリッジ・タップを意味することとします。 古くから電話が引かれていた地域では、電話の配線は何軒かに 1 本の割合で 引かれていました。もちろんそれらの住宅の住所は違いますが近所です。配線 されていない場合は、即席に"ブリッジ・タップ"を使って既に接続されている 回線から配線してしまいます。

    デジタル・ループ・キャリア: 2 芯の線 1 本で複数の音声の伝送ができるいろいろ なシステムがあります。このシステムは使用する周波数を高低させたり、音声をデジ タル化したり、時間やコード、その他によって電話回線を分割することができます。 ペア・ゲインと呼ばれることが多いと思います。

    上記の機材は、高周波を利用したデータ転送に様々な悪影響を与えます。

    ローディング・コイルは、高周波部分を完全にフィルタリングし、低周波を通します。 また「遅延エンベロープ」と呼ばれる、ある周波数を他の周波数に優先させて受け 取れるしくみを変更しているようです。つまり、ある音声データが次に来るべき データを妨害する可能性があります。

    ブリッジ・タップは、信号の波長が長い場合はシャント・キャパシタンス として 動作し、波長の およそ 1/4 の場合は帯域通過フィルタとして動作します。つまり ある特定の周波数を自由に通過させることになります。DMT モデムの特定の音声 信号は分離されてしまい、受信側のモデムに届かなくなり、結果的にに電話回線 の帯域を狭めてしまいます。

    ペア・ゲインは、一回線で複数の伝送を同時に行うために、一つの伝送に使える帯域 を制限します。これはアナログ信号にもデジタル信号にも適用されます。DMT による 伝送で使われる周波数はペア・ゲインによってフィルタされてしまいます。

    「加入者線における信号方式と伝送方法の手引き」(Whitham D. Reeve 著、 IEEE Press 1992, ISBN 0-87942-274-2) は、電話回線における伝送の特性に対して 回線の長さ、ブリッジ・タップ他が与える影響の調査方法の集大成ですが、かなり 高価です。

  5. 質問: ADSL ANT についての実例はありませんか?

    答: あります。この技術の発達は日進月歩で、HOWTO では追いきれません。 ADSL ANT については ADSL Forum Home Page . を参照されると良いでしょう。ここから各ベンダーのホーム・ページに行けば、 現状がわかるはずです。

    私が提供できる技術情報は 1998 年 6 月現在のものです。

8.2 リンク

8.3 謝辞

この ドキュメントを書くにあたって、情報を寄せてくださった皆さんに感謝いた します。 貢献していただいた方々(私も含めて!)の安全のため、スパム・メールよけをして います。アドレス表記の "X" をとってくださるようお願いいたします。

8.4 日本語版謝辞

翻訳に当たって、下記の方にお世話になりました。ありがとうございました。

8.5 用語解説

この FAQ にでてくる専門用語の解説です。

より対銅線回線

電話会社から配線されている 2 芯のツイスト・ペアケーブル で、顧客側で終端されている。

ADSL

Asymmetric Digital Subscriber Line 非対称デジタル加入者線。

ANT

ADSL Network Termination ADSL ネットワーク終端装置(ADSL モデム)。

ATM

Asynchronous Transfer Mode 非同期転送モード - 高速にパケットの スイッチングを行うことによって、 155 Mbps から 2Gbps(現状では)の速度を提供 します。インターネットへのバックボーン接続のために利用されています。

ATMF-25Mbps

ATM フォーラム公認のインターフェース - 25Mbps の速度が出せ、 PCIバスの NIC で使用されています。ANT と PC 間で使用されるインターフェースの 一つです。

Central Office

中央局。 2 つの意味があります。- 1) 電話関連機器が設置 されている電話会社の建物。 2) 電話のダイヤル・トーンを出力する音声交換機。

CPE

Customer Premises Equipment 顧客端末 - 電話会社の用語で、顧客側に 設置される機材を意味します。 (つまりあなたに管理の責任があります)。CSU/DSU、モデム、ANT、電話がそれに 当たります。

DHCP

Dynamic Host Configuration Protocol 動的にホスト設定を行うための プロトコル - 動的に IP アドレスの割当を行う際に用いる IP プロトコル。

DS0

電話会社が提供する基本デジタル回線。- 56kbps もしくは 64kbps が提供されています。ひとつのアナログ音声チャネルをポートできます。

DSLAM

Digital Subscriber Line Access Multiplexer デジタル加入者線多重 化装置 - 電話会社内設置機器で、DSL 回線を集線し多重化します。

xDSL

x Digital Subscriber Line デジタル加入者線 - DSL サービスの様々な 呼び方を表わします。 ADSL, SDSL, VDSL などがそれに当たります。

HDC

2 章を見てください。

ISDN

統合サービスデジタル通信網(Integrated Service Digital Detwork)。ただし Innovations S ubscribers Don't Need (加入者が必要としない技術革新)です。 1 本のより対銅線ケーブルで、2B (64k) + 1D(16k) のチャネルを使い、音声とデータ をやりとりします。

ISP

Internet Service Provider インターネット・サービス・プロバイダ

NID

Network Interface Device ネットワーク・インターフェース・デバイス - ADSL のスプリッターを保護するために設置される機器。

NIC

Network Interface Card ネットワーク・インターフェース・カード - ネットワーク・インターフェースを提供する PC カード(PCI や ISA バス用がある)。 通常は 10baseT や ATMF-25Mbps カードが使われます。

POTS

Plain Old Telephone Service 昔ながらの電話サービス - アナログ電話 回線だけのサービス(例えばあなたの電話回線)。

Recursion

Recursion を見てください。

SNI

Subscriber Network Interface 加入者ネットワーク・インターフェース - 電話会社の用語で、家庭側の電話配線を意味します。電話会社と家庭内配線の分かれ 目表します。境界点 (Demarcation Point)とも呼びます。

スプリッター

SNI にある電源不要のデバイス(低周波帯域フィルタ)で ADSL の信号を音声とデータチャネルに分割します。

スプリッターなし

スプリッターを設置しないで ADSL を使用する方法。高速で 使用する場合は アナログ電話を差し込むジャックごとに RJ11 フィルタをつけて NID でフィルタをかけずにジャックのところでかけます。低速で使用する場合は、 フィルタは要りません。

SOHO

Small Office Home Office 個人事業所もしくは小規模事業所。

T1

DS1 とも呼びます。 - 1.544 Mbps のデジタル専用線。24 本の DS0 として 使われ、音声とデータ伝送で利用されています。

T3

DS3 とも呼びます。 - 44.736 Mbps のデジタル専用線。672 本の DS0 もしくは 28 本の DS1 として使われ、音声とデータ伝送で利用されています。


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