すでにいくつかの X のクライアントについて触れましたが、 この節では他のクライアントについても、もうすこし紹介します。ここでの議論 はもっとも基本的で重要なアイテムについてに限ります。それらは X といっしょ に、あるいは X を利用していればすぐに見つけられるものです。 もしあなたが KDE や GNOME のような統合デスクトップ環境を導入しているなら ば、同様の機能を持つクライアントを他にいくらでも選ぶことができます。 とはいえ、X の基本的なプログラムたちについて知って、そして理解することは 重要です。なぜならば、それらはいろいろな環境の上で仕事をするときにとても 役に立ち得るからです。 また X は通常のコンソールアプリケーションでも利用できるたくさんの新しい オプションも提供します。
多くのオペレーティングシステムには指定しておいた時間の経過後に画面をブランク にし、そしてオプションとして気のきいたデモ画像を表示する機能があって、こ れはスクリーンセーバと呼ばれます。もちろん X にもこの機能を使う 2 通りの方 法があります。
この機能を使うもっとも基本的な方法はあなたのスタートアップファイル
.xinitrc
に xset dpms 2400 3600 4800
のようなコマンドを加えることです。
xset コマンドは X サーバのスクリーンセーバ機能を設定します。
テキストコンソールでのカーネルのスクリーンブランク機能とは混同しないでく
ださい。
dpms
オプション
により X はモニタのパワーセーブ機能 (power saving feature) も利用できます。
最初のオプションは何秒後に画面をブランクにするかを設定し、 2 番目のオプショ
ンはパワーセーブ機能を開始するまでの秒数を設定し、 3 番目のオプションは
「オフ」モード ("off" mode) について設定します。これらのオプショ
ンを設定すると暗黙のうちに対応する機能が有効になり、また 0 に設定す
るとその機能が無効になります。
たいていの Linux ディストリビューションには xlock がはじめから、
あるいはオプションとして入っています。
これはとても基本的な、そしてとてもすてきなスクリーンセーバです。
-nolock
オプション付きで実行すると、このプログラムが提供している
いくつかのモード (デモ画像) を眺めることができます。
またこのオプションなしで実行すると、マウスを動かすかキーを押したときに、
パスワードを尋ねてくるというセキュリティ機能になります。
これは本当のセキュリティにはならないことに注意してください。
Linux のコンソールでユーザがコンピュータを再起動したり
コンビネーションキー (Ctrl-Alt-BS) を使って X を終了することができるからです。
とはいえ後者は無効にできます。
またあなたが xdm を使っているならば、xdm はログイン時の認証と同程
度のセキュリティを提供するので、たぶん再起動しないと他の人はロックを解除
できないでしょう。
より新しくてよりよいプログラムは Jamie Zawinski さんによる
xscreensaver です。
このプログラムはとてもたくさんのすてきな機能を提供しています。
たとえば、それ自身のプロセスを低い優先順位で実行できますので実行中のシス
テムへの負荷を減らせますし、
xset により画面がパワーダウンしているかどうかを自動的に検出
するのでプロセッサ時間を浪費しません。
その上、すべてのグラフィックルーチンはモジュール化されたデモとして呼び出
されるのでパッケージ全体を更新することなくルーチンを追加できますし、
xearth
や xdaliclock
のような他のプログラムもモジュー
ルのように呼び出せます。
xscreenserver の最新版は
http://www.jwz.org/xscreensaver/
で見つけることができます。いったんインストールして動かす準備ができたなら
ば、こんな記述をあなたの .Xdefaults
ファイルに加えたくなるでしょ
う。
!!! XScreenSaver のデフォルト設定の例
! 3分たったらタイムアウトして、2分ごとにデモを切り換える
xscreensaver.timeout: 3
xscreensaver.cycle: 2
! とても低い優先度で走り、モードの切り換えの間にフェードする
xscreensaver.nice: 12
xscreensaver.fadeSeconds: 2
あなたがテキストエディタ Emacs のファン、あるいはヘビーユーザ
であるならば、 X 上ではより容易に仕事ができることに気づくでしょう。
XEmacs を使っていないならば、 X で使うためにそれを欲しくなるでしょう。
たとえ X を使わないにしても XEmacs にはすてきな機能があります。
たとえば、あなたが編集しているマークアップ言語のスタイルに応じて文章を自
動的に着色することができます。
ためしに以下の修正を .emacs
ファイルにおこない、
他のオプションについての info ページを読んでみるべきです。
それからメニューからフェースを編集するオプションも探してみてください。
(global-font-lock-mode t) <!-- 訳者: xemacs 20.4 にはないみたい -->
(setq font-lock-maximum-decoration t)
appres は指定されたクラスとインスタンス名でアプリケーション (あるいは アプリケーションのサブ階層) に参照されるリソースをプリントします。 これは特定のプログラムがどんなリソースをロードするのかを決めるために使う ことができます。X defaults などをデバッグするのに役に立ちます。
多くのディストリビューションでは xlock のよりよい置き換えユーティリティ とされています。メモリを節約し、メイルが届いたときに通知したり、メッセー ジをポップアップウィンドウに表示してプログラムを起動することができます。 Battery-Powerd Mini-HOWTO には ラップトップマシンのバッテリー残容量を表示するためのこのユーティリティへ のパッチが含まれています。
xterm についてのよりよい置き換えアプリケーションです。 より少ないメモリで、速く動作し、バックグラウンドに pixmap を表示できて、 メニューからだけでなくキーボードのホットキーでもフォントを変更できます。
イーサネット情報と同じように、CPUの状態 (idle,nice,system,kernel) の統計 を表示します。
あなたのルートウィンドウに地球を表示します。たくさんのオプションがあります。 xscreensaver はこれをスクリーンセーバモジュールとして使うことが できます、冗談として。
ベクトル描画プログラムで、とくに図表や文章の編集に役に立ちます。とても便 利ですが、最初はとっつきにくいです。
X のフォント選択ユーティリティです。フォントを選んでそのフォントを使って
xterm のウィンドウを開くには
xterm -fn `xfontsel -print` &
を試してください。
メモリの使用状況を動くグラフやキーボードのLEDでモニタします。 Window Maker を使っているならば同じ機能でよりちいさな wmmon を 捜してみてください。
X の拡大鏡で、便利な機能が組み合わせられています。
X 上でのマニュアルページブラウザです。 起動時に表示されるちいさいボックスウィンドウがわずらわしいようでしたら -notopbox オプションを付けて立ちあげてください。
キーボード修飾マップ (keyboard modifier map) とキーマップテーブル (keymap table) を編集・表示します。このマップテーブルはクライアントアプリケーショ ンによってキーコード番号を KeySym 名に変換するために使われます。 たいていはユーザのスタートアップスクリプトから実行されます。ひとつの例が この文章の始めの方にあります。詳細はオンラインマニュアルを参照してください。
簡単なビットマップペイントプログラムです。実用的には GIMP を使ったほうがよいでしょう。
X のユーザ設定ユーティリティです。これによりすべての設定を変更できます。
たとえば、xset s 600
は 10 分後に画面をブランクにするよう設定します。
あなたのデスクトップの色を変更します。もし xcolersel のような色
選択プログラムを導入してあるならば、 xsetroot -solid `xcolorsel`
といったコマンドを実行して、あなたのデスクトップを選択した色に設定してみ
ましょう。
このプログラムを実行して好きなウィンドウ上でクリックすると、そのウィンド ウについての役に立つ情報を得られます。
ほとんどのアプリケーションといっしょに X でインテリマウスを使えます。すばらしいリソースページが http://www.inria.fr/koala/colas/mouse-wheel-scroll/ にあります。