ディスプレイの動作原理を知ることは、Xconfig ファイルの色々 な場所にどんな数字を入れるかを理解する上で重要です。これらの値は、 XFree86 サーバがディスプレイをハードウェアレベルで制御するのに使用しま す。
ディスプレイは、ラスタドットの集まりと考えられるものを使って画像を 表示します。このドットを左から右へ並べて線を作ります。そして、この線を 上から下へ並べて画像を作ります。ドットはディスプレイ内部で電子ビームを 当てられたとき発光します。それぞれのドットは自分の色を持っています。 それぞれのドットに均一に電子ビームを当てるために、電子ビームは ラスタと呼ばれる一定のパターンでディスプレイ上を走査します。
最初に「ドットの集まりと考えられるもの」と書いたのは、これらのラスタドット は実は物理的な発光体のドットと対応していないからです。物理的な発光体 のドットはラスタのドットよりもずっと小さいのです――ラスタのドットの方 が小さくなければなりません。もしそうでなければ、ディスプレイにはモアレ 効果が出てひどいことになってしまいます。ラスタドットは実際にはドライバ から来るアナログ信号をサンプリングしたものであり、これがドットの格子と して表示されるのは、信号の山と谷が非常に規則的であり、かつうまく間隔が 取られているからに過ぎません。
このパターンはスクリーンの左上から始まり、ごくわずかな「下り坂」(この 下り坂は非常に緩やかで人にはわからないくらいです)を下りながら右方向へ まっすぐにスクリーンを横切ります。そして電子ビームはディスプレイの 左端に戻って新しい線を開始します。新しい線は、最初の線の時と同じように ディスプレイを左から右へ走査します。このパターンはディスプレイの一番下 の線を走査するまで繰り返されます。それから電子ビームは(数回画面を往復 して走査しながら)ディスプレイの右下から左上まで移動し、それから最初か ら全ての動作を繰り返します。
走査には インタレースと呼ばれる別種類の方法があります。 インタレースとは、最初の半フレームでは一つおきの線しか走査せず、二回目 の半フレームで残りの線を走査するという方法です。
ディスプレイの左上の電子ビームの開始点はフレームの始まりと呼ばれます。 フレームは、電子ビームがディスプレイの右下隅まで届いてから左上隅に再び戻って きたときに終了します。フレームはディスプレイの一番上から一番下までの全ての 電子ビームの線でできています。
もし電子ビームがフレームを移動している間ずっと「オン」だったら、 ディスプレイの全てのドットは点灯してしまい、ディスプレイの縁には黒い部 分はなくなるでしょう。そしてディスプレイの縁では、電子ビームの制御が難 しいので画像が歪んでしまうでしょう。この歪みを減らすため、ディスプレイ の縁のドットは、電子ビームが届いても(「オフ」になっているため)ドットが 輝かないようになっています。ディスプレイの実際に表示される領域が小さく なっているのは、こういうわけなのです。
理解すべきもう一つの重要なことは、表示する領域を描画していない時に電子 ビームがどうなっているかということです。ディスプレイの両端を描画するた めに使われるはずだった時間は、電子ビームを右端から左端まで戻すために使 われます。ディスプレイの上端および下端を描画するためにかかるはずだった 時間は、電子ビームをディスプレイの右下隅から左上隅まで移動させるために 使われます。
アダプタカードは信号を生成し、絵を描くのに使うそれぞれのドットの位置で (表示させたい色に従って)ディスプレイの電子銃を点灯させます。また、 アダプタカードは水平同期信号と呼ばれる信号を生成し、電子ビームが右端か ら左端に戻るタイミングを制御します。水平同期信号は、全ての行の最後でひ とつ発生します。さらに、アダプタカードは電子ビームをディスプレイの左上 隅に移動させるための垂直同期信号も生成します。垂直同期信号は全ての フレームの終わり近くに生成されます。
ディスプレイは電子ビームの位置を安定させるため、水平同期信号と 垂直同期信号の前後に短い時間を必要とします。電子ビームの安定化ができな いと画像が安定しません。
詳しくは TV and Monitor Deflection Systems のページをご覧ください。
後の節では、定義と公式、例題を使えるようにするため、再びこれらの基本事 項に触れます。