あなたはこの文書を読む必要があるでしょうか? 以下のような状態にあるかどうか考えてみてください:
この文書の中におけるいくつかの例では,あなたが GNU tar
,
find
, xargs
を所有していることを前提にしています.こ
れらは極めて標準的ですので,問題を起こすことはまずないでしょう.またあ
なたが自分のシステムのファイルシステムの構造を把握していることも前提に
しています.もし把握できていないのなら,通常のシステム動作の最中に
mount
コマンドが出力したメッセージを書き留めておくことが必須
です(あるいは,読むことができるのなら/etc/fstab
のリストが必要
です).この情報は重要で,ディスクのパーティションを切り直したり,追加
したり,システムをインストールしなおしたり,その他もろもろをしない限り
は変化しません.
最新の「製品版」カーネルバージョンはこの文書を書いている時点で 2.2.9 ですので,この文書ではこれを参照したり例として挙げています.この文書は できるだけバージョンに依存しないようにしていますが,カーネルは常に開発 されています.ですから新しいリリースを手に入れたら,記述と異なる点がど うしてもあることでしょう.繰り返しになりますが,このことが大きな問題を 引き起こすことはありませんが,多少混乱することがあるかもしれません.
Linux のカーネルソースのバージョンには「製品版」と「開発版」の 2 つが あります.製品版のリリースはマイナー番号[2つ目の数字]が偶数のリリー スです.すなわち 1.2.x は製品版,2.0.x も製品版,2.2.x も同様に製品版 です.これらのカーネルはリリース時においてもっとも安定,かつバグのない バージョンと考えられます.開発版カーネル(2.1.x, 2.3.x など)はテスト用 のカーネルであり,新しくてたぶん大変バグの多かろうカーネルをテストした い人々のためのものです.十分注意してください.
「ABCabc
」のように見えるテキストは,画面上に現れる文字列やファ
イル名,キーボードから入力するコマンドやそのオプションなどを表して
います(もしこの文章をプレーンテキスト形式で読んでいるのなら,他とは区
別がつきません).コマンドやその他の入力すべき文字列はよく ` 'で括りま
す.でも,これは以下のような昔からよくある句読点の問題を引き起こします:
もしコマンドなどがクォートで括られた文の最後にくると,人によってはコマ
ンドに `.' をつけてしまいます.というのはアメリカ流の引用では引用符の
内側にピリオドを置くからです.常識では(残念ながら,ここでいう常識とい
うのは,いわゆるアメリカ流の引用法を想定しています)句読点をまず外すは
ずですが,たいていの人はすぐに忘れてしまいます.だから私はそのような場
合にはピリオドを引用符の外側に出します.言い換えれば,あなたが
``make config
'' とタイプしなければならない場合は,
`make config
.'ではなく `make config
' と書きます.
[本和訳版では以上の記述は関係ありませんね.]